忘れ去られた歴史の舞台裏を描く『語られざる占領下日本 公職追放から「保守本流」へ』が発売 占領時代に起きていたことが現代の政治までも規定していた――広島カープ創設者の悲話
日本国独立70年の節目に、実力派が歴史を掘り起こす!
2022年10月25日発売のNHKブックス『語られざる占領下日本 ~公職追放から「保守本流」へ』では、青山学院大学教授の小宮 京氏が、埋もれていたエピソードに光を当て、GHQによる公職追放の脅威に振り回される人々の姿をリアルに描き出します。
- 不透明な権力とどう向き合ったのか?
日本が米国による占領から独立を回復して70年が経った。現在の政権は久々の“保守本流”宏池会出身者が担う。かつて宏池会のトップを務めた宮澤喜一は、敗戦直後に占領軍側と直接交渉する立場にあり、そのことを回想したあるインタビューで「占領というのは非常に屈辱だ」と述懐した。最高権力をGHQが持っていたこの時代には、記録に残らなかった数々のエピソードが埋もれている。
最高権力の象徴的な行使が「公職追放」だった。そこでは有名無名を問わず、政治や行政にかかわる人々が理不尽ともいえる目に遭っている。現代の私たちは、戦後民主主義の恩恵を受けた者として、民主化を推し進めたGHQの支配を“すでに消えてなくなったもの”として忘れ去っても問題はないのだろうか。公職追放の体験を「黙して語らなかった」人々の運命に、関心など持たなくてよいのだろうか?
本書は、著者が収集した史料や占領期についての証言をもとに、広島カープ創設者・谷川昇、”クリーン”イメージの首相・三木武夫、フリーメイソンの天皇入会工作にかかわった関係者、田中角栄伝説を生み出した作家・戸川猪佐武について、掘り起こした事実に新たな角度から光を当てる。GHQの内部対立や、それを利用したり、またそれに翻弄されたりした日本人の姿を通じて、この時代についての証言が少ないことの意味を考えさせるのである。
著者は自民党について、草創期や誕生以前の事情に詳しい。また、長らく鳩山一郎首相時代に関心を抱いており、今回の本は「なぜ日本の首相がフリーメイソンだったのか」という疑問に対する答えとなった。また、「占領期におけるもっとも重要な事件」(佐藤栄作・談)とされる「山崎首班工作事件」を改めて検討することで、すでに”神話”化した田中角栄をめぐる伝説の重要な部分が形成されていくプロセスの詳細や、異端と見られていた三木武夫が敗戦直後から首相候補と目されるようになっていた事情を明らかにしている。現代日本の出発点となった時代に、記録に残されず、後代の証言も乏しかったのはどのような事実なのか――。それを次々に明らかにしていく、実力派による刺激的な現代史である。
- 『語られざる占領下日本 ~公職追放から「保守本流」へ』構成
序 「あのお話はなかったことにして下さい」
第一章 広島カープの生みの親・谷川昇の軌跡
第二章 「バルカン政治家」三木武夫の誕生
第三章 フリーメイソンと日本の有力者たち
第四章 田中角栄伝説と戸川猪佐武『小説吉田学校』
おわりに 「道義のない民主主義はありません」
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書名:NHKブックス『語られざる占領下日本 公職追放から「保守本流」へ』
出版社:NHK出版
発売日:2022年10月25日
定価:1,760円(税込)
判型:B6判
ページ数:320ページ
ISBN:978-4-14-091275-1
URL:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000912752022.html