壮絶な沖縄戦を生き抜いたひめゆり学徒の児童向けノンフィクション『ももちゃんのピアノ』【5月9日発売】
株式会社ポプラ社は、児童向けノンフィクション『ももちゃんのピアノ 沖縄戦・ひめゆり学徒の物語』を5月9日に発売しました。
書誌詳細>>https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/4047040.html
『ももちゃんのピアノ 沖縄戦・ひめゆり学徒の物語』は、元ひめゆり学徒隊の一員として壮絶な沖縄戦を生き抜いた与那覇百子さんの半生をもとにしたノンフィクション作品。戦争の残酷さを中心に描いた戦争文学は多くありますが、本書は音楽を力にして前向きに生きる少女のひたむきな姿を中心に描いた作品です。今年は、沖縄復帰50年という節目の年。また、不幸にもウクライナとロシアとの間で戦争が起こるという負の歴史が刻まれてしまった一年でもあります。そんな今だからこそ、届けたい一冊です。
- 「ひめゆり学徒隊」とは
沖縄戦で看護要員として戦場(南風原病院)に送られた女子学徒隊の通称。沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一女子高等学校の教師・生徒で構成されました。本書の主人公「ももちゃん」のモデルとなった与那覇百子さんは、沖縄師範学校女子部の女生徒でした。
- あらすじ
音楽が大好きなももちゃん。幼年時代はわら半紙にピアノの鍵盤をかいて机に貼り、いつも歌っていた。やがて「ひめゆり学園」へと進み、音楽教師の東風平(こちんだ)先生に出会う。ひ弱な東風平先生だが、ピアノを前にすると迫力の演奏。そんな東風平先生がももちゃんは大好きだった。戦争のために野外で軍の作業ばかりやらされる学園生活だったが、仕事を終えて午後四時から夜までピアノに向かうのが日々の楽しみだった。そんななか、本格的な爆撃が始まり、ももちゃんもひめゆり学徒隊の一員として負傷兵の看護に追われることとなる。
戦場で3か月後、ももちゃんはぐうぜん東風平先生に出会う。痩せて濡れネズミのような姿だ。その弱々しい体から発せられたのは、ただ一言「生きろ」。
戦争が始まって一度も聞かなかった言葉だ。「捕虜になったら潔く死ね」「いかに死ぬかが大事」など学校で教わったのは「死に方」ばかり。そうした中で、いつの間にかももちゃんは音楽を忘れていた。けれども、東風平先生の「生きろ」という一言で、にわかに『月光』の音色がももちゃんの中に湧き上がってきた。同時に、生きる力がわいてきた。
――やがて戦争は終わった。それから77年。ももちゃんは今も生きている。「太陽の笑顔」とあだ名されるおばあちゃんだ。指は動かないが、『月光』の音色はももちゃんの中にはっきりと残っている。
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『ももちゃんのピアノ 沖縄戦・ひめゆり学徒の物語』
文/柴田 昌平 絵/阿部 結
発売年月 :2022年5月
ページ数:190ページ
定価:1650円(10%税込)