失って初めて気づくことがある。親のありがたみ、友人の大切さ、ペットの存在の偉大さもそうである。『たからものを天に返すとき』刊行 そして人は悲しみながら考える。ペットを飼って庇護しているつもりだったが

2023年10月5日

株式会社ハート出版(本社:東京都豊島区池袋 代表取締役:日高裕明)は、人とペットの関係性を独自の視点で綴ったロングセラー『ペットがあなたを選んだ理由』の続編で、品切れのまま電子書籍のみの状態だった『続・ペットがあなたを選んだ理由』を改題のうえ、カバーを新装して刊行

親が亡くなっても泣かなかったのに(人前では)、ペットが死んだ時は大泣きしたという話をよく耳にする。犬は人類と最古の友、猫は人につかず家につくなどといわれるが、大切な時間を共に過ごしたペットの死に接すれば、犬派・猫派に関係なくペットロスになるに違いない。

子供の時分に、捨てられていた仔猫を拾って家族と揉めて泣いたり、ペットショップで仔犬を見初めて嬉しかった経験を持つ人も多いと思う。

三世代家族は今は昔、核家族・少子化が当たり前、ひとり親家庭も増える豊かな国・現代ニッポン。死に場所も家の畳の上ではなく病院や介護施設のベッド。子供たちは「人の死」にふれる機会がほとんどないまま大人になってしまうのが現実だ。

そんな社会ではペットの存在意義は大きい。元気だったペットからは人生の喜びと命の輝きを学び、ペットを天に送るときは刹那や諦観、悟りにふれる。私たちはペットを通じて自分以外の存在を深く愛するということを経験していた――と気づかされるのかも知れない。

本書はお坊さんが説法する堅苦しい話がメインでない。エンドレスに捨てられる赤ちゃん猫、保護・捕獲と里親探しの苦労、獣医通い、シェルターからの脱走事件、保護施設の人間模様など、「生の現場」の話が一杯。かといって深刻に描くのではなく、擬音・擬態語を交えた筆致には思わず笑ってしまうおかしさがある。漫画家のアシスタントをしていたことも下地にありそう。

商社のOLから一転、大型犬シベリアンハスキーとのライター稼業、愛犬と過ごした黄金の日々、壮絶な別れを経て、高野山で得度した経歴の持ち主ならではの内容となっている。ペットを死なせてしまったと悔やむ飼い主の気持ちは涙なしでは読めないし、その心の浄化の仕方や、カウンセラーとしての視点は勉強にもなる。

なぜだかあなたの元に来て渡してくれた命のバトン。ペットとの出会いの意味、そして別れの苦しみは、また別の世界の扉を開き、あなたの人生に新たな気づきをもたらしているに違いない。

今はペットを飼っていなくても、過去に天にお返した経験がある人には琴線に響く体験談が満載。納得したり反発してみたり反応は人それぞれ。今まさにペットと貴重な時間を暮らしている幸せな人は手に取らなくてよいともいえるが、いずれ読みたくなる時がやって来る。

電子書籍は便利だけれども、紙の本をめくって読むことをお勧めしたい。お手元にハンカチもお忘れなく。

本書は平成二十六年四月刊『続・ペットがあなたを選んだ理由』を改題の上、カバーを新装したものです。

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書名:たからものを天に返すとき
著者:塩田妙玄
仕様:四六判並製・336ページ
ISBN:978-4-8024-0150-0
発売:2023.04.06
本体:1,800円(税別)
発行:ハート出版